お仏壇のお手入れの基本

日々のお参りの場である仏壇を清潔に保つことは、供養の心を形にする大切な行いです。
仏壇は正しい方法でお手入れを行うことで、その美しさを長く保つことができます。
この記事では、仏壇・仏具、金箔や漆を傷めないための基本的な掃除手順と注意点をご紹介します。

目次

掃除を始める前の心構えと準備

元の状態を記録する

仏具の配置は「写真を撮っておく」と安心

仏壇の掃除では、仏具をいったん取り外す必要があります。
ところが、掃除が終わったあとに「元の配置が思い出せない…」と困ってしまう方は意外と多いものです。

そんな時に役立つのが 事前の写真撮影 です。

掃除を始める前に、デジカメやスマートフォンで仏壇全体や仏具の配置を撮影しておきましょう。
そうしておけば、掃除後に写真を見ながら正確に元の位置へ戻すことができ、迷うことがありません。
大切なお仏壇を丁寧に扱うためにも、「事前の一枚」を習慣にしておくと安心です。

天候の良い日を選ぶ

仏壇は湿気に弱いので、掃除をする日は天候選びがとても大切です。雨の日や湿度の高い日に窓を開けると、湿った空気が室内に入りやすく、仏壇にとっては良い環境とはいえません。
また、掃除中は仏具を外すため、普段は隠れている部分も外気に触れやすくなっています。
乾燥した日に比べると、湿気の影響を受けやすくなる状態です。

そのため、仏壇の掃除は晴れていて湿度の低い日がおすすめ

窓を開けて換気をすれば、湿気がこもりにくく、カビや変色の予防にもつながります。
大切なお仏壇を長く美しく保つためにも、ぜひ「湿度」を意識してお手入れしてみてください。

仏壇掃除の正しい手順

STEP
まずはお祈りを

仏壇の掃除を始める前に、本尊とご先祖様へ手を合わせて「これから掃除をさせていただきます」と一言お伝えしましょう。

STEP
写真を撮る

仏壇の掃除では仏具を外すため、元の配置がわからなくなることがあります。
掃除前に全体と仏具の配置を撮影しておくと、あとで迷わず元通りに戻せて安心です。

STEP
仏具を取り出す

ご本尊や位牌、香炉、花立てなどを丁寧に取り出します。
吊り輪灯など動かしにくいものは、無理に外さずそのままで構いません。

STEP
上から下へ埃を払う

仏壇の掃除は、落ちたホコリが下へ積もるため 上部から順に 進めるのが基本です。

欄間などの細かな装飾は毛バタキや筆で優しく払い、
手が届く部分は仏壇掃除用の刷毛で丁寧にホコリを落とします。

STEP
本体を乾拭きする

埃を払った後、柔らかい布で仏壇全体を乾拭きします。
水分はカビや変形の原因となるため、水拭きや洗剤などの使用は注意が必要です。

STEP
掃除を終えたら

掃除が終わったら仏具を元に戻し、ご本尊とご先祖様に「掃除が終わりました」と一言報告して締めくくります。

素材別のお手入れのコツ

金箔部分

金箔は非常にデリケートです。
直接手で触れたり、強くこすったりすると剥がれる原因となります。
毛バタキや筆で埃を払う程度にとどめましょう。

漆塗り部分

漆部分は、乾いた柔らかい布で軽く拭く程度にします。
水拭きや洗剤を使うと、表面の状態によっては艶が失われることがあるため、注意が必要です。

金属部分

毛バタキや乾いた布で汚れをとり、十分乾かしてから戻してください。
無垢の金属製のものは、必要に応じて研磨剤入りの金物磨きなどでお手入れします。
表面加工されているものは、毛バタキや柔らかい布などで優しく埃を払うにとどめます。
また、飾り金具や丁番金具についても表面加工が施されていますので、金物磨きは使用しないでください。

仏具の掃除方法

○ご本尊・位牌など

ご本尊や位牌は大変デリケートなため、筆や柔らかい布で優しく埃を払います。漆や金箔が施されている場合が多いため、指紋がつかないよう 直接手で触れない のが基本です。どうしても持つ必要がある場合は、柔らかい布越しに扱いましょう。

○香炉

香炉の灰は、燃え残りが混ざると匂いや燃え方に影響します。
月に一度程度、ふるいにかけて燃え残りを丁寧に取り除きましょう。
灰が湿っていたり汚れが気になる場合は、思い切って新しい灰に交換するとすっきりします。

○金属製仏具

花立・ロウソク立て・仏飯器など、金属製の仏具は固く絞った布などで汚れを拭き取り、
最後にしっかり乾拭きをして水分を残さないようにします。
真鍮などの無垢の金物は、くすみが気になる場合には研磨剤入りの金物磨きを使用します。

○陶器・ガラス製仏具

陶器やガラス製の仏具は水洗いすることで清潔さを保てます。
洗った後は必ず 完全に乾かしてから 仏壇に戻しましょう。
水分が残ったままだと、湿気がこもりカビや劣化の原因になることがあります。

掃除の頻度とおすすめのタイミング

○日常・数日に一度

お参りの前に、毛バタキで軽くホコリを払うだけで十分です。
時間もかからず負担が少ないため、習慣にしやすいお手入れです。

○月に一度

普段より少し丁寧に。
毛バタキや仏壇用の筆で全体のホコリを払い、隅や細かな装飾部分も軽くチェックします。
このタイミングで、ローソク立てや香炉などの仏具の汚れも軽く拭いておくと清潔さを保てます。

○年に1〜2回

お盆・お彼岸・年末などの節目には、本格的な掃除を行いましょう。
仏具を外して、上から下へ順にホコリを払い、必要に応じて「やわらかい布」でやさしく拭き掃除をします。
この「節目の掃除」を行うことで、お仏壇全体の状態をしっかり整えられます。

頑固な汚れの落とし方


強くこすったり、市販の洗剤を使うのは避けてください。
頑固で落ちにくい汚れは、水をほとんど感じない程度に絞った柔らかい布で、一定方向に軽く拭くのがコツです。
その後、乾いた布で水分をしっかり吸い取りましょう。

ただし、漆塗りの仏壇・仏具の場合は、漆の表面が紫外線劣化していると艶が失われてしまいます。
部分的に目立ちにくい箇所でテストを行い、布の方に漆の色が移る様であれば中止してください。
また、木地や下地が見えているようなイタミがある場合も、水拭きは行わないでください。

自分で落とせない汚れは、ご相談ください。

金箔の剥がれや、気になるキズ、劣化や歪みなど、ご自分で対処が難しい場合は、お気軽にご相談ください。
専門的な「洗い」や「修復」により、購入時のような美しい状態を取り戻すことができます。

弊社では、様々な仏壇の洗い・修復・再生を承っております。
長年大切にしてきたお仏壇を、次の世代へ受け継ぐお手伝いをいたします。

まとめ

仏壇を長く美しく保つには、日常的な埃払いと、節目ごとの丁寧な掃除が欠かせません。
そして、正しい手入れを知ることが何よりの保護につながります。

山田仏具店では、お仏壇の状態に合わせた最適なご提案を行っております。
お困りの際はお気軽にご相談ください。

目次